更新日:
March 23, 2018
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【恵比寿】暖炉の炎が燃え上がっては灰になるのを、僕はまだ知らない。『MERCER CAFE DANRO』
大手証券会で働く康介は、俗に言うエリートだ。高学歴も高年収も手に入れた彼には、どうしても手に入れられないものがあった。先月、彼の元に突如現れた白い天使。艶のある白い肌にふっくらとした唇、伏し目がちに笑う仕草、そのどれもが彼を魅了した。『MERCER CAFE DANRO』で今夜、この想いを彼女に告げるー
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約束の30分前。今夜成功するカギは、もう手の平に握りしめていた。

康介が『MERCER CAFE DANRO』に着いたのは約束の30分前。
時計を覗くと、恵比寿駅に着いてからまだ3分ほどしか経っていないようだ。
デザイナーズマンションのような建物を2階に上がると、大理石の柱にガラス張りの高級感溢れる入り口に迎えられる。
今夜の告白を成功させるための準備は整っていた。彼女の喜びそうなお店は事前にリサーチ済みであったし、プレゼントのネックレスも行きがけに購入してきていた。
後は彼女を待つだけだ。不思議と緊張はしていなかったが、さっきから時計の針の音がやけにうるさく聞こえていた。
時計を覗くと、恵比寿駅に着いてからまだ3分ほどしか経っていないようだ。
デザイナーズマンションのような建物を2階に上がると、大理石の柱にガラス張りの高級感溢れる入り口に迎えられる。
今夜の告白を成功させるための準備は整っていた。彼女の喜びそうなお店は事前にリサーチ済みであったし、プレゼントのネックレスも行きがけに購入してきていた。
後は彼女を待つだけだ。不思議と緊張はしていなかったが、さっきから時計の針の音がやけにうるさく聞こえていた。
「まぁ、素敵」吐息混じりの声に、暖炉の炎がゆれる。

特等席である暖炉カップルシートに案内されると、彼女の口から吐息とともに「まぁ、素敵」という甘い声が漏れた。
中央でゆらゆらと燃える暖炉の火に、冷えた身体がじんわりと暖められれるのが分かった。
ゆったりとしたソファに2人で腰かけると、ふいに彼女の細い指が僕の指と重なる。彼女は反射的に手を引っ込めたが、その頬がほんのり赤く染まるのを見逃さなかった。
中央でゆらゆらと燃える暖炉の火に、冷えた身体がじんわりと暖められれるのが分かった。
ゆったりとしたソファに2人で腰かけると、ふいに彼女の細い指が僕の指と重なる。彼女は反射的に手を引っ込めたが、その頬がほんのり赤く染まるのを見逃さなかった。
白いドレスに赤いサングリアがよく似合う。

お酒はたしなむ程度だと言う彼女は、「サングリア レッド」を注文した。
サングリアシロップとオレンジジュース、白ワインで作っているため、お酒が飲めない人でも飲みやすい。
これで2人で会うのは2度目になるが、ぎこちない手つきで乾杯をすませる。
サングリアシロップとオレンジジュース、白ワインで作っているため、お酒が飲めない人でも飲みやすい。
これで2人で会うのは2度目になるが、ぎこちない手つきで乾杯をすませる。

白いドレスに赤いサングリアがよく似合う。
カクテルから彼女の顔に目を移すと、ほんの一瞬だけ寂しげな表情を浮かべた。
それでも僕は、彼女が飲んだサングリアのせいだと思っていた。
カクテルから彼女の顔に目を移すと、ほんの一瞬だけ寂しげな表情を浮かべた。
それでも僕は、彼女が飲んだサングリアのせいだと思っていた。
濃厚なソースが、彼女との距離を濃密なものにさせる。

暖炉の優しい灯りの前に、「生野菜とグリル野菜の盛り合わせ バーニャカウダーソース」が運ばれてきた。
彼女は色鮮やかなお皿にうっとりと目を細めた。
「何から食べるか悩んじゃう」
細くて白い指が1度グリル野菜の上をさまよってから、コップに盛り付けられた生野菜の方へ伸びる。
彼女は色鮮やかなお皿にうっとりと目を細めた。
「何から食べるか悩んじゃう」
細くて白い指が1度グリル野菜の上をさまよってから、コップに盛り付けられた生野菜の方へ伸びる。

彼女は紅芯大根を指でつまむと、今度は迷わずバーニャカウダソースへと指を運んだ。
キャンドルの火で暖められたソースはからふんわりと香るガーリックの香りと、彼女のつけた香水の匂いが混ざる。それが妙に心地よくて、僕はしばらくその香りに酔いしっていた。
キャンドルの火で暖められたソースはからふんわりと香るガーリックの香りと、彼女のつけた香水の匂いが混ざる。それが妙に心地よくて、僕はしばらくその香りに酔いしっていた。

ソースをつけた紅芯大根を口に運ぶと、彼女は伏し目がちに口元に笑みを浮かべた。
「濃厚な味がする」
続いて僕もニンジンを指でつまみ、ソースをつけて一口かじる。
ガーリック、アンチョビの効いた濃厚なソースが、食べごたえのある根菜と合わさってクセになりそうだ。そのままグリル野菜にも手を伸ばし、その2つの食感を大いに楽しんだ。
彼女はそんな僕を見て笑ってくれた。
「濃厚な味がする」
続いて僕もニンジンを指でつまみ、ソースをつけて一口かじる。
ガーリック、アンチョビの効いた濃厚なソースが、食べごたえのある根菜と合わさってクセになりそうだ。そのままグリル野菜にも手を伸ばし、その2つの食感を大いに楽しんだ。
彼女はそんな僕を見て笑ってくれた。
「こんなの初めて」ステーキが、彼女の屈託のない笑顔を引き出す。

遂にメインの「Aust産 短角牛赤身のチャコールグリル」の登場。
やっぱり間違いなかった。運ばれてきた瞬間から、自分の料理のチョイスが抜群のセンスだったと低く鼻を鳴らした。
女性でも気兼ねなく食べられるようヘルシーな赤身肉を使ったステーキだが、しっかりとボリュームもあって男でも大満足の一品だ。
ガーリックの効いた赤身肉は、噛めば噛むほど肉の旨みが口の中に広がる。
やっぱり間違いなかった。運ばれてきた瞬間から、自分の料理のチョイスが抜群のセンスだったと低く鼻を鳴らした。
女性でも気兼ねなく食べられるようヘルシーな赤身肉を使ったステーキだが、しっかりとボリュームもあって男でも大満足の一品だ。
ガーリックの効いた赤身肉は、噛めば噛むほど肉の旨みが口の中に広がる。

彼女にも進めると、小さく頷いてステーキを口に運んだ。
大きな口を開けなくてはいけなかったので、少し恥ずかしそうに頬を赤らめているのが愛おしかった。
「こんなの初めて」
お肉を口いっぱいに頬張った彼女は、にっこりと微笑んでいた。
出会ってから未だ、こんなに屈託に笑う彼女は初めてみた。
大きな口を開けなくてはいけなかったので、少し恥ずかしそうに頬を赤らめているのが愛おしかった。
「こんなの初めて」
お肉を口いっぱいに頬張った彼女は、にっこりと微笑んでいた。
出会ってから未だ、こんなに屈託に笑う彼女は初めてみた。
恋の炎は、燃え上がってはいつしか灰になった。

食事が終わり、しばし沈黙が流れる。暖炉の炎が、彼女の心の炎にも火をつけてくれている気がする。
まさに鞄からプレゼントのネックレスを引き出そうとしたその時だった。彼女は暖炉から目を離さずにつぶやいた。
「素敵なお店ね。今度旦那を誘って来るわ」
僕はその後何も言えなかったが、後で聞いた話によると彼女には婚約者がいて、結婚前の最後の遊びとしてこの約束を受けたのだそうだ。
そんなことともつゆしらず、舞い上がっていた自分への憤りと彼女への恋心が、燃え上がってはいつしか灰になった。
まさに鞄からプレゼントのネックレスを引き出そうとしたその時だった。彼女は暖炉から目を離さずにつぶやいた。
「素敵なお店ね。今度旦那を誘って来るわ」
僕はその後何も言えなかったが、後で聞いた話によると彼女には婚約者がいて、結婚前の最後の遊びとしてこの約束を受けたのだそうだ。
そんなことともつゆしらず、舞い上がっていた自分への憤りと彼女への恋心が、燃え上がってはいつしか灰になった。
- 本間アキ
- 仕事に遊びに自分磨きに忙しくても、やっぱりデートって特別な時間。私のことを思って今日のお店を選んでくれたんだなってのが伝わると、自分もこの人のことを大事にしたいって思えるのです。ってことで、この人となら…!って気持ちにさせてくれる“とっておき”のお店を選んでみました♡
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